第24回事業創造講座のご報告
群馬ニュービジネス協議会は7月11日、前橋市内のホテルで第24回事業創造講座を開いた。講師を務めたのは群馬ヤクルト販売株式会社 代表取締役会長の本田博己氏でテーマは「群馬ヤクルトのビジョン経営~究極の宅配サービスを目指して~」。
マーケティングとは「売れる」「儲かる」仕組みをつくること
利益は会社を存続させる上で必要だが、企業の目的は、社会に貢献し、世の中の役に立つこと。ヤクルトの場合は、お客様の健康に役に立つこと、健康をお届けすることで社会に貢献している。ドラッカーがいうようにマーケティングとは「売れる」「儲かる」仕組みづくりをすること。「マーケティングの理想は販売を不要にすること」だ。当社は、お客様の信頼を獲得し、深めていく仕組みづくりを推進している。ヤクルトグループでは、“ヤクルトの父” 代田稔博士の代田イズムを継承し、「研究」と「普及」に努めている。
Yakultのチャネル戦略
ヤクルトは販売チャネルと店頭チャネルの2本立てで営業活動を行なっている。全国に103の販社があり、宅配チャネルと店頭チャネルに分かれている。業績の良い販社は売り上げ構成比の70%以上が宅配チャネルといわれているが群馬ヤクルトでは、宅配75%、店頭25%という構成比だ。
ビジョンを駆動力に
社長就任時は、ライフサイクルでいうと成熟期に当たったため、会社像を再定義した。一言でいうとビジョンづくり。一般的に創業者は強烈なパワーがあるものだが、2代目以降になると創業者と同じように行うのは難く、ビジョンを駆動力にしようと考えた。
価値観の共有
1994年の社員研修・合宿からビジョン・プロジェクトを実施し、会社の将来像、あるべき姿、目指すべき方向性を全員と共有して求心力を高めていった。2001年のビジョンプロジェクトでは、群馬ヤクルトの将来像として「お客様満足No.1企業になる」ことを掲げた。そして健康快適応援企業を目指すべく、5つの「私たちが大切にしたい価値観」とお客様に提供できる価値をそれぞれ定めた。さらにその価値観を具体的に実行できるように落とし込んでいった。2010年以降は、2020年ビジョンの策定を行い、人材開発をテーマに人材育成方針や求める人材像を明文化した。さらに2015年では、新たな挑戦と題してビジネスモデルの再構築を行った。取り組みの一つとしてVoice会議を創設し、ご意見番アンケートや従事者アンケートなどを通じたさまざまな声に応えて経営基盤の強化を図った。
新たに「ビジョン2020+」を
本年度は、ビジョン2020+として、“地方消滅時代”に備えて社会的な課題に応える企業として使命を掲げた。群馬ヤクルトは、企業活動のすべてのプロセスを革新するを基本にしている。20-30年先の時代を見据えて、中長期的な戦略計画を毎年進捗を確認しながら見直し実行している。「未来は予測するものではない。自らが創るものだ」と考える。(米国の科学者アラン・ケイ氏の言葉を引用)