21/02/10
jimu

令和3年 新春互礼会・セミナー(オンライン開催)のご報告

20210208
令和3年 新春互礼会・セミナー(オンライン開催)

テーマ
テーマ「テナガエビの養殖事業、世界初の量産化」

講師
松下商店 代表・松下昇平氏

 昭和62年生まれの32歳。米国留学の時に七面鳥という食文化を知り、タンパク質の世界へ身を投じて、七面鳥のタンパク質をアスリートに供給したいとの想いから、2017年、高知県中土佐町に移住して、個人事業主という形で松下商店を起業。大野見七面鳥生産組合で働いていたときに、縁がありテナガエビを生産。

 事業承継の背景は、大野見という地域が、超少子・超高齢・超減少の中、「持続なのか、限界なのか」というタイミングではあるが、七面鳥とテナガエビの養殖事業が成功し、未来を切り開いていければと考えていた。

 七面鳥の生産に携わっていく中で同様にテナガエビのタンパク質の重要性を知り、中土佐町役場と連携して事業を進めている。もともと、テナガエビに携わっていた職員が他県の企業と連携していたが、地元の企業で一緒に町の振興につなげていきたいとの想いが一致して、松下商店が事業主体となる。世界人口増加と経済成長により、肉食化が進み、需要が増えることでタンパク質が不足すると想定される。

 タンパク質は、人間の体の構成として20%を占めている。役割が大きい動物性や植物性などに分かれており、これからは自分にあったタンパク質を選択する時代となる。その中で七面鳥とテナガエビを摂取してもらえるようになれば。

 テナガエビの生産工程は、テナガエビの養殖場で孵化をさせて幼生を飼育して、さらに肥大化させて出荷させていく。四万十川では、生態系を考えると、うなぎが、テナガエビをタンパク源として摂取しているが、減少傾向のため、自分たちで生産したテナガエビを四万十川に戻したい。天然のテナガエビが四万十川では、ほぼ取れない中で、今回、10万匹の赤ちゃんのテナガエビの養殖に成功。成功の裏には、四万十川の天然の水域を養殖場で再現できたことにあった。

 テナガエビ類には3種類(テナガエビ/ヒラテテナガエビ/ミナミテナガエビ)に分類されている。この中でミナミテナガエビは大野見での環境に適している。

 今スタートラインを跨いだところの事業ではあるが、今までテナガエビとして販売したことはない。今年の4月からオンラインショップでテナガエビとして販売をスタートさせる予定。

 高知県内ではテナガエビを守るため期間限定で採捕を禁止としている。これからは四万十川の清流保全と流域の振興目的に活動している四万十川財団との環境整備が必要となる。

 テナガエビを本格的に販売していくために、20万匹、30万匹と量産していきたいが、テナガエビの生産の必要性を大野見の住民の方に理解してもらうことも大切なことだと思っている。

 大野見の未来を考えるときに月5人のペースで人口が減っていて、20年後にはゼロになってしまう状況下。七面鳥とテナガエビが課題解決の入口になればと思う。大野見発、世界初となる「しまんとテナガエビ」の量産の成功をきっかけに新たなタンパク源としてカラダへの寄与を、四万十川流域の環境を守るための養殖を目指す。

 

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