9月度事業創造講座のご報告
群馬ニュービジネス協議会 9月度事業創造講座
2022年9月29日(木)
講演テーマ①:新商品、着想から商品化まで~そこから見える幾つもの課題~
株式会社ジャノエンタープライズ 代表取締役社長 山中 泰介 氏
弊社はノベルティ関係の卸業として1995年に創業し、現在はゲームセンターで扱うおもちゃの専門商社となって業務を拡大してきました。私自身、小さい頃からものを考えたり発明したり、ということが好きで今の仕事に就ているわけですが、本業のおもちゃ関係の方は今や4万種以上の在庫を取り扱い、還暦を過ぎた身としてはキャラクターの名前も覚えきれないという状況になりましてそちらは若い社員に任せ、自分は同年代の人の悩みを解消するような商品を開発したいと思っています。
同年代の悩みとは何か。薄毛?加齢臭対策?などといろいろと考えてきて、除菌・抗菌に威力を発揮するスプレータイプの『銀イオン レグノア』を開発しました。塩素などを使わない安全な除菌商品として作りましたが、そのような中、新型コロナウィルスの問題が発生。これをいち早く北里環境科学センターに持ち込み、抗菌に効果があるとのお墨付きをいただきました。商品を売るにはエビデンスが必要です。
その技術と自動車のガラスコーティングの技術を融合させ、スマホ画面にも使える「除菌ガラスコーティング」のOEMにも成功しております。
安心安全な銀イオン水を使ったコーティングの技術は汎用性が高く、今年春にオープンした「果実工房ありさか」さんの店舗では、テーブルやドアノブ、ショーケースなどあらゆる所に使わせていただいております。
商品アイデアが浮かぶ時は、私の場合は仲間と話している時。ですので私は仲間を何よりも大切にしています。
講演テーマ②:地域創生とニュービジネス~南北海道のサーモン養殖を群馬へ繋ぐ~
野村證券株式会社 高崎支店長 梶田 明宏 氏
私は岡山県出身で現在43歳。2021年3月まで野村證券函館支店で支店長をしており、その時に関わりましたのが南北海道の道南島と呼ばれる奥尻町のサーモンの養殖事業です。函館は人気の観光地ではありますが、人口減少も著しく、人口減少率の全国平均が0.5%と言われる中、函館は2~3%と高い数値です。しかも驚きましたのが全国の主要港の水揚げ量では、函館港はイカ漁など有名でありながらベスト10にも入っていないことでした。地元の人からは「このままでは北海道は養殖しないと寿司屋がなくなる」などと危機的な言葉も聞かれました。
なぜサーモンの養殖が成功したか、それは「北海道の海という資源」「地元の漁協の協力が得られたこと」が大きかったと思います。サーモンの養殖はマグロ養殖より7分の1ほどのエネルギーで済むという試算があり、それゆえ参入業者も多くいますが、大半は淡水での養殖です。しかし今回は地元漁協さんの協力が得られ、冬場に漁をしない海を使って11月に稚魚を放し翌年5~6月に水揚げするという方法が可能になりました。水温の低い広い海のいけすで育ったサーモンは上質な脂質で身も大きく育っています。北海道大学水産学部の先生にもご指導いただき、漁協、加工業者さんなど皆さんにWin-winの事業とすることができました。
昨年より高崎支店長となった私は、地元を代表する企業、ベイシア様とお会いすることができ、そのオリジナルで美味なサーモンを取り扱っていただけることになりました。近日中にお寿司や刺身等で店頭に並ぶと思いますのでぜひご賞味ください。
利益を先に考えたらおそらくうまくいかなかったでしょう。実は函館では、養殖のほかに、サテライトオフィス事業や水族館建設にも動いたのですがこちらは成功というわけにはまいりませんでした。大切なことは、その地域で儲かることは何かと探していくより、その地域の課題や困っていることを見つけて、パッションを持って動いていくことだと思います。