22/12/27
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12月度事業創造講座のご報告

群馬ニュービジネス協議会 12月度事業創造講座
 
2022年12月19日(月)
 
「二地域居住」と「社会システム産業」~地方創生第2ステージに対応して~
 
講師:玉田 樹 氏/株式会社ふるさと回帰総合政策研究所 代表取締役社長 
 
私はかつて野村総研の執行役員・理事を務め、地域政策や企業戦略に携わり通産省の作業政策を支援してきた。2007年に株式会社ふるさと回帰総合政策研究所を設立し、2010〜12年には内閣府の「地域社会雇用創造事業」で全国や被災地などに約200名の起業家を生み出した。地方再生・地方創生について政府にも提言をしてきた中で、「地方創生は第2ステージに入っている」「移住ではなく二地域居住にを移すべき」「そのパワーを生かして『社会システム産業』を起こすべき」と考えている。
 
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これまでの地方創生の考え方は、移住者に頼りすぎていた。いつの時代も田舎暮らしをしたい人はいるが実際にふるさと回帰して移住する人はわずか5%程度という統計もある。Uターン率の全国平均は43.8%、群馬県は少し高くて49.7%。これを本当は8割くらいに上げる目標を持たないと地方は衰退するばかりだ。帰らない理由は「地元に働きたい職場がない」が第一だが、地元の企業に悩みを聞くと「専門的な技術・知識を持った人材確保が難しい」という。このあたりのマッチングを『二地域居住』『社会システム産業の創出』で実現させたい。
 

『二地域居住』とは、今後副業者やフリーランスが増えていくにあたりUターンまでしなくても都市と地方の両方に拠点を持ってもらうという考え。政府も、副業を認める方向へ舵を切った。専門技術のアドバイザーとして定期的に地方企業へ来て貰えばお互いウィンウィンの関係ができる。そのためには地方の空き家を活用し、今ある「空き家バンク」を「空き家中間管理機構」に拡張し法整備して市場化させるのがよいだろう。
 

『社会システム産業の創出』とは、地方に新しい産業を作ること。日本企業はこの10年、新しい産業に投資をせず内部留保に力を入れそのため事業が生まれずジリ貧の国になってしまった。さらに地方は大都市よりも約1割給料が低い。これは建設業や製造業、飲食・観光など産業構造が古いままだからだ。今成長している産業は情報通信、研究技術、教育学習、医療福祉など。特に情報通信業であれば地方に企業まるごと移転しなくとも仕事ができる。コロナ渦でそれがわかった。これを生かして「社会システム産業」を作るべきだ。
 
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デジタル技術だけでは産業は生まれない。そこに市場(課題)と動力(実際に使いこなし動く人)が必要だ。かつて日本郵便や日本IBMなどそうそうたる大手企業数社が一緒になって「高齢者見守り事業」に参入したことがあった。高齢者家庭にタブレット端末を配布したが実際にフォローする人員がいなくて失敗に終わった。つまり社会システム産業は B to Cでは成功しない。B to B’ to C の仕組みが不可欠なのだ。このB’は、すでに地元サービスをしており現場の課題や困りごとなどをよくわかっている地元業者のこと。B’がBとCのつなぎ役をすることで事業がうまくいく。
B(ノウハウ副業者)を呼び寄せ、B’(地元の中小業者)とともに社会システム産業推進協議会を作ろうではないか。群馬でも新しい産業を作り込むために、産・官・学・金・言が協調して「ぐんま社会システム産業推進協議会」を設立することをお勧めしたい。

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