23/02/21
jimu

令和5年新春互礼会のご報告

群馬ニュービジネス協議会 新春特別講演
 
2023年2月14日(火)
 
「食の進化の最前線-フードテックのインパクト」
 
講師:株式会社シグマクシス 常務執行役員 田中 宏隆 氏 
 
私は以前パナソニックに勤務していた頃から、この資源立国ではない国、日本は、人が生み出す技、技術、文化が重要であり、そういうものを世界に届け、ビジネスとしてできれば、と考えていました。そうしたところ食に出会う機会があり、2016年にアメリカの「スマートキッチンサミット」に参加して「これだ」とひらめきました。今から7年前に既に500名くらいが参加しており、食の進化について投資家やメーカー、流通関係者らがものすごく熱く語っていました。その後、私も現在の会社において「Smart Kitchen Summit Japan」をこれまでに5回開催してきました。昨年は2年ぶりの開催で大いに盛り上がりました。
 

 
特に最近定着してきて面白いのが日本初のフードテックスタートアップをたくさん出そうということで、毎回5〜10社選んでテーマを決めて発表してもらっています。日本ならではの麹菌やこんにゃく、マグロの尾で質を判断できるAIツールみたいなものも出てきて「日本の伝統フードテック」のようなテーマもやっています。世界からも日本がこれから何ができるのか非常に期待を持たれています。食の開発とは科学やサイエンス分野と思われるかもしれませんが、実はいろいろな学問との業態の中で可能性がある。歴史学者や建築学者、デザイナーやクリエイターといった各分野のプロフェッショナルが集まってセッションしたり共創して面白い取り組みになっています。
他にも、国、JAXA、NASAと連携した「SPACE FOODSPHERE」という、2040年に人類が普通に月にいく時代に向けて食のソリューションを行うプロジェクトも実施しています。
 

フードテックという言葉が注目されたのは、投資がどんと増えた2014〜15年頃。日本ではもう少し後になって注目されたと思いますが、海外ではその頃です。なぜ食の進化が必要なのかには大きく二つの要因があります。一つは食糧不足に関する課題。これはフードロスや人口100億人時代に関わる問題で、その代表格がプロテインなどの代替食品です。二つ目は、食の多様な価値の存在です。テクノロジーの進化はあくまでも手段であり、目的は我々がより良い社会を作ること。食は、時短や便利さを追求してきた面もありますが、コロナ渦を経て「ああ、あの時集まって食事して楽しかったなあ」なんて価値を再発見したりもしました。
地域の存在感も大切です。特定の地域での食体験が何倍もの価値を生むこともある。地域で循環していることは、いろいろな問題に対処する時にとても大切なことです。
 
フードイノベーションに大切なのは何といってもデータです。実際に日本には優秀な食品メーカーの技術や食に関わる人、文化、技術、ニーズ、モデル、多様性等、たくさんの素材がありますので、これらを生かして新しい良い世界に向かっていきたいというのが私の願いです。
 

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