GNBC新春互礼会のご報告
日 時:令和6年2月14日(水)
会 場:ホテルラシーネ新前橋 3F「ロイヤルオーキッド」
新春特別講演
講師 朱 建栄 氏(東洋学園大学グローバル・コミュニケーション学部教授)
演題 「2024年の中国政治経済と日中関係の展望」
新春特別講演では、上海生まれで中国の政治外交史、東亜細亜の国際関係に詳しい、東洋学園大学グローバル・コミュニケーション学部教授の、朱 建栄 氏に再び登壇いただき、中国政治経済の最新動向などについてお話しいただきました。
まず、朱氏は、コロナ渦の3年間を経て昨年末ごろからリバウンド需要を期待されたが中国をはじめ、世界経済においても体力がなくなってきていると指摘。米中対立でアメリカも中国からの輸入を制限している中で中国がどのように巻き返していくかが重要だと話しました。
2012年秋に就任した習近平主席に関しては、「反・汚職腐敗」「貧困対策」「環境対策」の3つにおいて一定の成果を挙げた、と評価しました。ただ、昨年に起きた首脳部の相次ぐ解任問題もあって、国民には「ねそべり族」「45度人生」といった言葉に表されるように諦めムードも漂っているとのこと。しかし情報統制をもかいくぐるSNSの発達によって、民衆の不満が大きなパワーに結集していることも事実だ、と言います。
年の中国経済の基本的予測について。
「1月、世界銀行が発表した世界経済予測では、実質GDP成長率は、全世界平均は2.4%、アメリカは1.4%(昨年は2.5%)。日本は昨年の1.8%から半分の0.9%という見通しが出された。中国は昨年が5.2%、今年は4.5%となっている。ただ、中国国内では強気で依然として5%以上は可能と見ている。これまでの伸びが大きいのだから、4〜5%で推移し続けることは実質的な成長である。問題は、今までの“途上国体質”からどのように“持続可能な競争力がある体質”にしていくか、である」と話しています。
「それには、相次ぐ不動産バブル問題の対策が重要。そして近年、中国では新産業と呼ばれる「EV」「リチウム電池」「太陽光パネル」などの産業が大躍進している。特にEVを含む自動車の輸出は昨年、日本を抜いて世界1位に躍り出た。これらの産業に注力し9億人近い巨大な労働力を武器に躍進していく」と話しています。
「今年1月に台湾総統選挙が行われ、独立志向の強い与党・民進党候補の頼清徳氏が当選し、台湾統一については現状維持という方向性が出た。アメリカに対しても、2030年台前半には経済発展を遂げてアメリカと並ぶという戦略を持っている。そのためにも日本との尖閣諸島問題も含め他国との無用な争いは避け、勢いを増していくだろう」と強調しました。
最後に、群馬と中国の結びつきを深めるために3つの施策も提案して下さいました。
「1つは、ITのマッチング。中国経済に親和性の高いキャッシュレスペイなどを導入すること。2つ目はそれを踏まえて、温泉、スキー場などの自然を生かして観光客を誘致すること、3つ目は、友好的な絆。かつて群馬出身の福田康夫首相がパンダ外交を行なったように、政治力を生かし共通シンボルを持つこと。巨大市場である中国を利用しない手はない。夢を持って連携を進めていくことも必要なのではないか」と話して下さいました。
講演会の第二部では、新春交流会を開催し、「浜田和久 ジャズピアノの夕べ」の女性ボーカリスト木暮純子氏の歌唱とともに、ゴージャスでリラックスした大人のジャスに耳を傾けながら会員間で交流を深める場となりました。