設立10周年記念式典のご報告
本日は「GNBC10周年記念式典」にご出席いただき、誠にありがとうございます。式典の部では、まず会長の挨拶に始まり、ご来賓の方々より温かいご祝辞を賜りました。また、副会長であり総務委員長の竹中様より、GNBC10年の歩みをスライドを交えながら振り返っていただき、これまでの軌跡と未来への展望に思いを馳せるひとときとなりました。その後の記念講演では、株式会社SUBARU 技術本部 ADAS開発部 主査による「運転支援システム アイサイトの開発について」のご講演を拝聴しました。
記念講演「運転支援システム アイサイトの開発について」
講師 株式会社SUBARU 技術本部 ADAS開発部 主査 丹羽 仁史 様
スバルのルーツは1917年創業の中島飛行機に遡ります。戦後、自動車メーカーとして再出発し、軽自動車「スバル360」の開発を機に本格的な自動車製造を開始しました。その後の経営理念「安心と楽しさ」のもと、安全性を重視した車作りを継承し、現在の「アイサイト」開発へと繋がっています。
1990年代に構想が始まった「アイサイト」は、ステレオカメラ技術を基盤としています。当初は試験段階で多くの課題がありましたが、カメラや画像処理技術の進化に伴い、衝突回避システムとして実用化されました。
2008年、初めて「アイサイト」という名称で発表されたシステムは、衝突回避技術に特化しつつコストパフォーマンスを高め、広く普及しました。その後、バージョンアップを重ね、現在は最新の「アイサイトX」が導入されています。
統計データでは、アイサイト搭載車は非搭載車に比べて、追突事故が84%、人身事故が61%低減しており、その効果は社会的にも高く評価されています。また、北米をはじめとする海外市場でも「安全のスバル」として高い信頼を得ています。
スバルでは、「0次安全」「走行安全」「予防安全」「衝突安全」「つながる安全」という全方位的な安全思想を掲げています。事故の未然防止から万が一の際の乗員保護、さらには迅速な緊急対応までを網羅した安全技術を提供しています。
具体的には、以下の技術が挙げられます。
衝突回避支援:ステレオカメラで障害物を検知し、自動ブレーキやステアリング制御で衝突を回避。
運転支援:渋滞時のハンズオフ機能や長距離運転での負担軽減。
万が一の対応:SOSコールや事故自動通報システムの搭載。
現在、スバルはAI技術との統合を進めています。これにより、従来の白線認識に頼らず、雪道や複雑な道路環境でも適応可能な運転支援を実現しています。また、AIを活用した経路計算により、前方車両が急停止した場合の回避経路も提案可能です。
AI開発を支えるため、スバルは渋谷に専門ラボを設立し、アルゴリズムの研究・実証を行っています。また、半導体メーカーとの協業により、AIの性能を最大限に引き出すハードウェア開発も推進しています。
「アイサイト」の開発には、エンジニアの強い使命感が込められています。「お客様のために何ができるか」を常に考えながら、自ら企画立案し、手を動かして開発を進めています。また、「倒れるなら前のめりで」「社内都合は関係ない」といったモットーを持ち、困難な状況でも挑戦を続けています。
「アイサイト」は、ステレオカメラやAI技術の進化により、安全性を追求し続けています。その取り組みは「死亡交通事故ゼロ」という大きな目標を現実のものとするために進化を続けています。
記念講演の後には祝賀会の部を開催し、和やかな雰囲気の中でご参加の皆様とともに会食を楽しみました。日頃のビジネスの情報交換をはじめ、新たな交流や親睦を深める有意義なひとときとなりました。改めて、ご参加いただきました皆様に心より感謝申し上げます。