第26回事業創造講座のご報告
一般社団法人群馬ニュービジネス協議会(中島利郎会長)は11月12日、前橋市内のホテルで11月例会・第26回事業創造講座を開催した。テーマは「継ぐ・繋ぐ」。重要な経営課題のひとつである事業承継について会員の日東システム開発の青木規夫会長、ソウワ・ディライトの渡邉辰吾社長が講演した。
第1講 青木規夫氏(株)日東システム開発 取締役会長
事業承継をしっかり考えるきっかけは、後継者を息子(長男)に打診したときに「何をしている会社か分からないのに後は継げない」と言われた。当社は、真の意味での価値創造カンパニーを目指している。キーワードは「共創」。常にお客様視点に立った価値観を続けることを目指す。事業内容は3つの柱としてポータルサイト開発・運営、パッケージソフトウェア、オーダメイドシステムの開発。
日東システム開発は、日東電機製作所からグループ会社の一つとして設立。その際、社長に就任したので元々やりたい事業ではなかった。最初の事業承継は55歳で社長を引退すると決めていた。しかし、準備不足を痛感。それは引き継ぐ者が魅力を感じるビジネスづくりを目指していなかったから。将来の夢が語れる会社づくりの必要性を感じ、10年延長計画を立て65歳での事業承継に軌道修正を行った。
魅力あるビジネスにするために従来の受託型のビジネスから自社ブランドを持つビジネスに転換。後継者の育成では2代目社長と言われないようにビジネス実績による社員からの信頼づくりに着手した。何よりも事業承継の上で大切なことは事業と将来の方向性の価値観を一致させること。同じ価値観をつくるコミュニケーションを最も重要視、社長交代時は、退職金をもらい会長に就いた。勤務時間と給与を半分以下にして実質的な経営権を委譲することで必然的に承継が進んだ。
新社長の取り組みは制服の廃止や就業時間の変更、さらに8つの行動指針を掲げ、ペーパーレス化も実現。従来の営業からインサイドセールスへのデジタルマーケティング転換、働き方改革の一環としてテレワークの試験導入も行っている。今後は、一人ひとりのパフォーマンスを最大限に高めるために新社屋を建設する予定。
第2講 渡辺辰吾氏(株)ソウワ・ディライト 代表取締役社長
当社は「デンキのミライにワクワクする」をビジョンに掲げて、ひとに、まちに、光を当てる会社。しっかりとしたビジョンを示すことが大切だ。その考えに賛同できずに辞めていく社員もいたが、自分の軸を持ち誠実さを持ち続けながら取り組むことで、ついてくれる社員がいる。私から社員に対して解雇通告を行ったことがないことが誇れる。
双和電業からソウワ・ディライトへ社名変更した際に先代からのソウワという言葉を残した。双和電業に入社した理由は父が好きだったから。電気工事に興味が湧いてこないのが事実としてあったが、興味が沸く電気工事業をつくり上げるしかなかった。
事業を引き継ぎ最初に着手したのはビジョンの策定だ。ビジョンは、ただ掲げるものではなく、いかに実行するかが大切なポイント。現状のビジネスモデルを、どうにかするのではなく、会社にコネクトし続けるためのエコシステムを構築することが求められていると感じる。そのために会社は保守的ではなく、挑戦していく姿勢を常に持っている。
継ぐべきものは電気工事業ではなく、経営者としての覚悟。父からサジを投げられたこともあったが、覚悟を持ってやり続ける。そして、結果につなげている。今では父が会社に顔を出した時は笑って帰っていく。
社長就任後、零細企業の後継者という立場で厳しい現実を突きつけられた。事業は初めの一歩が重要で2番手、3番手では厳しい。ただ新しい事業を生み出すのは時間もかかるので基本的には事業ドメインを少しずらすこと。当社に置き換えると電気工事業+αということになる。今後は「デンキのミライにワクワクする」を胸に笑顔で楽しく仕事をしている姿を見せられるよう取り組んでいく。